パンの原材料の大部分が穀物の粉です。
穀物には、「稲、大麦、小麦、ライ麦、エン麦、とうもろこし、蕎麦、粟、デュラム小麦」の9種類とそれに準じた「ひえ、トリティケール」の2種類があり、人間にとって必要不可欠な糖質をでんぷんとして豊富に含んでいます。
パン用には圧倒的に小麦が使われ、それに次ぐものとしてライ麦が使われています。
それは、パンづくりにとても大切な役割を果たすグルテンが 小麦にしか含まれていないからで、グルテンがないとパンは膨らむことができません。
最近では米の粉やその他の雑穀を使ったパンもあり、確かに小麦以外の穀物もパンに利用されるようになりましたが大抵の場合、小麦粉と合わせて利用されています。
まれにドイツのプンパニッケルのように、ライ麦粉100%で作られるパンもありますが、グルテンを持っていないために酵母が発生させたガスを生地内に閉じ込めることができないので、パンが殆ど膨らみません。パンというよりも、何かどっしりと重くて堅い穀物の固まりのようなイメージのパンになっています。
小麦粉
小麦には硬質小麦と軟質小麦があり、小麦粉はグルテン量によって、強力粉、中力粉、薄力粉の3種類に分類されます。
そしてパン用には一般的に一番グルテン量の多い硬質小麦の強力粉を使用します。
小麦粉の種類と用途をまとめたものが下表です。
強力粉 | 中力粉 | 薄力粉 | |
---|---|---|---|
グルテンの量 | 多い | 普通 | 少ない |
粒度 | 荒い | 中間 | 細かい |
小麦の種類 | 硬質 | 中間・硬質 | 軟質 |
用途 | パン類 | 麺類 | 菓子類 |
タンパク質 | 11.5~14.0% | 8.0~11.0% | 7.5~9.5% |
ライ粉
ヨーロッパ東南部を原産地として、アメリカ カナダ フランス ドイツ 旧ソ連を中心に、栽培されています。
日本では北海道や東北の一部で栽培されていますが、現在、日本で使用されているもののほとんどが、カナダやアメリカから輸入されたものです。
ライ麦は小麦や大麦の栽培しにくい寒冷地や荒廃地でも栽培できるため、ドイツや北欧諸国でのパンづくりに利用されています。
その他の粉(プレミックス)
ミックス粉とも呼ばれ、小麦粉の他に用途に合わせて、砂糖 塩 油脂 脱脂粉乳等が、あらかじめ混ぜられた粉のことです。
家庭用で使われているホットケーキミックス等がミックス粉とも呼ばれ、小麦粉の他に用途に合わせて、砂糖 塩 油脂 脱脂粉乳等があらかじめ混ぜられた粉のことです。
家庭用で使われているホットケーキミックス等が、その代表ですが、ベーカリーでも計量ミスや材料スペースの節約、時間短縮等の目的で使われるようになりました。
このミックスを使うと、熟練した技術者がいなくてもある程度のパンを短時間で、作ることができます。